PMIの進捗と
グループシナジー
更新日:2022/11/15
未来創造のためのM&AとPMI
Yahoo! JAPANとして1996年のサービス開始以来、当社グループを取り巻く環境を正確に捉え、幾度もの自己変革を繰り返してきました。主要事業に磨きをかけ、より多くのユーザーに価値あるサービスを届けることで着実に成長する一方で、中長期的な戦略の一環としてM&Aを行うことで非連続に成長し、PMIにおいて多くの成功実績を積んできました。
こうした成功実績を通して得た多様なPMIの知見や経験を活かしながら、LINEを含む、グループ会社のPMIを進め、シナジーを最大化し、未来創造を推し進めます。



LINE社との経営統合後のPMIの進捗
2021年3月1日、Zホールディングス株式会社とLINE株式会社の経営統合によって、新生・Zホールディングスが始動しました。
経営統合によるシナジー効果を最大限に活かし、さらなる企業価値向上をめざしていくためには、PMIによる成功体験を生み出し、事業シナジーの創出に結びつけることが重要です。
それぞれの会社のカルチャーやビジョン・ミッションの違いを理解し、互いに尊重し合うコミュニケーションすることが肝要であり、信頼関係構築に重点を置いているのが、ZホールディングスグループのPMIの特徴です。様々なグループ間交流等を通して、組織風土の醸成を図り、シナジーの最大化を目指しています。
01
企業文化・人財交流面でのPMI
グループ内のシナジー事例共有やナレッジシェアなどのイベントを開催
Zホールディングスグループ経営陣・社員が一同に会し、経営陣に加え、グループ各社の社員が、Zホールディングスグループになったことで生まれている様々なシナジー事例や、よりシナジー創出を加速するためのナレッジシェアリングを行う、情報共有のイベントを定期的に実施しています。
経営陣だけでなく、社員一人一人が変革の担い手であるとの意識の下、グループのミッションである「UPDATE THE WORLD」を実現に向け、その基盤となるグループ全体での組織風土の醸成に注力しています。
企業内大学 「Z アカデミア」
Zホールディングスグループの従業員の横糸を繋ぎ、グループシナジーを加速させる役割を担うべく、ヤフーの企業内大学「Yahoo!アカデミア」の受講対象者をヤフーグループからZホールディングスグループへと拡大する形で、2020年4月に設立されました。2021年度にはグループ全社員を対象として201講座※1を開催し、延べ約26,000名が参加しました。さらに2022年度には、SX(サステナビリティトランスフォーメーション)実現に向けた「Zサステナビリティアカデミア」もスタートするなど、グループ内の豊富な人財の交流を通したシナジー創出を進めています。
※1:セミナー形式:155講座、アーカイブ提供:46講座
「Z AI アカデミア」
Zホールディングスは、外部からの増員のみならず、「Z AIアカデミア」においてグループ内の人財を交流・育成することで、内部からの人財活性化を促します。グループ全体のAIに関するナレッジ・実践力の底上げ・人財育成を図ることによって、AI人財不足という社会課題とも向き合いながら、「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」の実現を目指します。
また、実践的なAIづくりを行う半年間のプログラム「Z文系AI塾」の第2期の初回講義において、初のグループ外企業の受講者として34名が参加しました。社内外の人財交流により意見や知見を共有し、学びの成果の多様化を目指します。

- 第1期
- 「Z文系AI塾」を開催し、ZHDグループ企業延べ26社674名が参加、約400のAI企画が生まれました。
- 第2期
- 2022年8月から開催している第2期では初のグループ外企業から34名が参加しています。
「Zサステナビリティアカデミア」
Zホールディングスは、中長期視点でグループを成長させるためには、社会と企業のサステナビリティを両立するSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)実現力の向上が必要不可欠であるという認識のもと、グループの従業員一人ひとりがサステナビリティに関する適切な知識を得てそれぞれの持ち場でサステナビリティを実現していくための学びの場を提供するため、「Zサステナビリティアカデミア」を開講しました。
年間12回程度の講座やワークショップを通じて、サステナビリティに関する体系的な知識の獲得や、サステナビリティのビジネス上での取り込みに向けた主体的なマインドづくりを行います。また、約170社のグループ会社の従業員の交流の場としての役割も担っており、インタラクティブに知を結集することで、更なる事業成長やシナジー創出を促します。
Zホールディングスは、「Zサステナビリティアカデミア」を通して、グループ全体でのサステナブルな成長を目指します。
「Hack Day」
24時間という限られた時間内で自由にアイデアを巡らせ、開発し、できあがったプロトタイプを発表するイベントが「Hack Day」です。エンジニア・デザイナーの創造力を高めるための取り組みとして、社内向けと社外向けにそれぞれ年に1回ずつ開催しています。
社内向けのHack Dayでは、Zホールディングスグループの各社から多くの社員が出場し、日ごろから温めていたアイデアの実現や、新たな技術を身につける機会として活用されています。
2021年度の社外向け「Hack Day」は、「Digital Hack Day 2021」として、“日本のデジタル化”をテーマにした作品の開発を行いました。予選には、70チーム289人がオンラインで参加し、24時間の開発の後、作品のプレゼンテーションを行いました。審査を経て、12種の予選特別賞と、10チーム43人が決勝に進出しました。
2022年度はLINEとヤフーの初の合同テックカンファレンスの開催も予定されています。
Zホールディングスグループは、Hack Dayを通じて、優秀なエンジニアやデザイナーを支援するとともに、モノづくりの楽しさを世の中に広め、日本のデジタル化に貢献していきます。
カーボンニュートラル実現を支える体制の強化
2022年2月Zホールディングスグループ全社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」を発表しました。先行して気候変動に対する取り組みを発表したヤフーやアスクルに加え、2021年3月に統合したLINEやZOZOも含め、Zホールディングスグループ全体で2030年度までにカーボンニュートラルを目指すことを決定しました。
Zホールディングスグループは自らの社会的責任を果たし、社会・環境の持続的な発展を目指すためにも、各グループ会社(CSR推進部門、コーポレート部門、事業部門)と連携し、環境施策および注力領域として「重点課題(マテリアリティ)」※1を定義しました。グループCFOがオーナーとなる「ESG推進コミッティ」を設置し、重点課題(マテリアリティ)への取り組みを推進しています。
また、Zホールディングスグループはリスクマネジメント委員会を設置し、Co-CEO主導でグループの事業活動に関わるリスクを認識・特定し、対応を行っています。環境領域においては、気候変動に伴う大規模自然災害、感染症の拡大などのリスクを想定し、環境負荷、環境影響へのリスクアセスメントを実施しています。経営リスクを分析するリスクマネジメント委員会と連携し、グループのESG推進に取り組んでいます。

02
事業・サービス面でのPMI
経営統合により生まれた、日常生活に欠かせない「情報と人をつなぐ(Yahoo! JAPAN)」「人と人をつなぐ(LINE)」「人と決済をつなぐ(PayPay)」という3つの起点を中心に、ZOZOや出前館、アスクルなど多様なグループ会社とのシナジー創出も着実に進んでいます。
国内最大級のユーザー基盤を持つZホールディングスの各事業領域および親会社Aホールディングスの株主であるNAVERのAI技術、ソフトバンクの通信等まで網羅する多様なアセットの独自性でグループシナジーの最大化と収益拡大を図っていきます。
クロスユースの促進とグループ経済圏の拡大
当社グループの最強アセットである、LINE、ヤフー、PayPay、3つの起点をつなげ、国内最大級のユーザー基盤を盤石にし、収益化の土台を拡大させることで、「メディア」「コマース」「戦略」の3事業を、飛躍的に成長させていきます。
2021年度の成果
Zホールディングス経済圏を強化すべく、ロイヤルティプログラム統一に向けた取り組みとして、ヤフーサービスのポイント付与をPayPayポイントに変更しました。また、メディア事業においては、広告のLINE、ヤフー間の相互配信や営業連携の強化など、高度なデータ連携を伴わないシナジーの創出が着実に進んでいます。
- 広告の相互配信
- 2021年10月から「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」のLINE NEWS面への配信を開始しました。本取り組みにより「Yahoo!広告(運用型)」をご利用の広告主は、「LINE広告」の「LINE NEWS」面にも広告の配信が可能となり、月間アクティブユーザー約7,700万人以上※1を誇る「LINE NEWS」のユーザーに対して製品やサービス、キャンペーンなどが訴求できるようになりました。今後は「LINE広告」をYahoo! JAPAN内の広告枠の一部へ配信することも予定しており、将来的な完全な双方向の広告相互配信に向けて、連携を強化しています。
- LINEアカウント広告の拡大
- 2021年7月から「Yahoo!ショッピング」の全ての出店ストアを対象にLINE公式アカウントの開設申込受付を開始しました。Yahoo!ショッピング、PayPayモール※2出店ストアへのクロスセルが順調に進んだ結果、開設ストア数は30,975店※3となり、LINE公式アカウント数の拡大に大きく寄与、2021年3月期のアカウント広告YoY+17.5%の高成長につながりました。
- ※1:2021年8月時点 「LINE」アプリ内のニュースページ(ニュースタブなど)および、「LINE NEWS」アプリ、「LINE NEWS」WEBページにおける月間ユニークブラウザー数の合計
- ※2:「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」は2022年10月に売場統合しました
- ※3:2022年6月末時点
Zホールディングスの強みを生かしたコマース事業の拡大
LINEのソーシャルグラフや、グループアセット活用による新しい購買体験の提供で、競合との差別化を強化し、新規購入者数の拡大を目指します。
2021年度の成果
統合シナジーを早期に実現しているのがコマース領域です。「Yahoo!マート by ASKUL」、「LINEギフト」、「LINE公式アカウント」、「PayPayグルメ」などのサービスがグループ各社との連携にいち早く着手し、成果を発揮し始めています。
- LINEギフト
- 「LINEギフト」は、LINEのトークを通じて友だちとギフトを贈り合うことができるコミュニケーションサービスです。2021年10月より開始したYahoo!ショッピングやPayPayモールとの商品および在庫連携をはじめ、出前館、ZOZOTOWN、一休.comとのeギフト連携など、Zホールディングスグループ間の連携により、ユーザーは幅広いラインナップからギフトを選ぶことができるようになりました。
LINEギフト、最新のユーザー属性や利用動向を公開累計購入ユーザー数は1000万人を突破!
累計ユーザー数は約2000万人に出店ショップ数は約380店舗、取扱い商品数は約4万点! - Yahoo!マート by ASKUL
- 「Yahoo!マート by ASKUL」は、ユーザーが出前館のサービス上で、アスクルが販売する食料品や日用品を中心とした約1,500種の幅広い商品の中から選択し注文・決済すると、最短15分で商品を受け取ることができるサービスです。アスクルは商品調達、出前館は注文・配送、ヤフーやLINEは集客と、グループ各社の強みを組み合わせ、ユーザーの「今すぐ欲しい!」というニーズに応える、欲しい時に欲しい商品が手に入る新しいお買い物体験を提供しています。
- LINE公式アカウントの活用
- クロスユースの促進とグループ経済圏の拡大でも触れましたが、Yahoo!ショッピング、PayPayモール※1との連携も引き続き拡大し、開設ストア数における取扱高に占める割合は7割※2を超えるまでに成長しました。 Yahoo!ショッピングでは、これまでサービス上でユーザーがストアに商品に関する質問を行ったり、同意したユーザーを対象にサービスやストアからお得情報をメールで通知していました。LINE公式アカウントと連携することにより、ユーザーはLINEという身近なコミュニケーションツールからリアルタイムに最適な情報を受け取れるようになりました。
- ※1:2022年10月12日をもって「Yahoo!ショッピング」に統合されました
- ※2:2022年6月末時点
PayPayを起点とした決済・金融事業の拡大
スマホ決済サービス「PayPay」では登録ユーザー数および加盟店数の拡大を推進してきました。その結果、登録ユーザー数は約5,100万人※1まで拡大しました。引き続きPayPayユーザー数の更なる拡大に向けた取り組みは継続しつつ、マネタイズに向けた取り組みを本格化させていきます。
2021年度の成果
国内で最も浸透しているQRコード決済サービスであるPayPayのユーザー基盤を活用し、フィンテック領域における様々な連携や新しいサービスの提供を始めました。
- PayPayとLINE Payの連携
- 「PayPay」では、LINEが提供するLINEポイントからPayPayが提供するPayPayボーナスへのポイント交換を2021年3月16日より開始しています。従来のLINEポイントは、LINEスタンプとの交換やLINE Payでの決済などに利用されてきましたが、PayPayボーナスへの交換が可能になったことで、PayPayが提携するサービスや加盟店での決済など様々な用途で利用できるようになりました。
加えて、2021年8月17日から全国387万ヵ所以上※2のPayPay 加盟店のうち、ユーザーがQRコードを読み取るユーザースキャン方式(MPM)を導入している対象の加盟店において、PayPayに加えてLINE Payでの支払いも可能になりました。これにより、LINE Payユーザーは利用可能箇所が大幅に増え、利便性が向上しました。- LINEポイントからPayPayボーナスへの交換を開始
※2022年4月1日から「PayPayボーナス」の名称を「PayPayポイント」に変更しています
- PayPay加盟店において「LINE Pay」での支払いが8月17日から可能に
- LINEポイントからPayPayボーナスへの交換を開始
- PayPayカードおよび「PayPayあと払い」サービスの提供開始
- 「PayPay」との連携を強化し、金融事業を成長させていくとともに、わかりやすい名称とすることでユーザーに親しみをもってサービスをご利用いただきたいという思いのもと、社名やサービス名を「PayPay」ブランドに統一し、ワイジェイカード株式会社からPayPayカード株式会社に商号変更を行いました。
2021年12月にPayPayで利用できるPayPayポイントが貯まるお得なクレジットカード「PayPayカード」の提供を開始しました。
加えて、2022年2月より当月に利用した金額を翌月まとめて支払えるPayPayの支払い手段「PayPayあと払い」のサービス提供を開始しました。ユーザーは事前にPayPay残高へチャージすることなくPayPayでの支払いに利用できるようになり、支払い方法の選択肢が広がりました。 - PayPayほけん
- 「PayPay」のアプリ内から「PayPayほけん」に簡単に加入できる取り組みを2021年12月より開始しました。
これまでヤフーが運営する「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」※3、「ヤフオク! 」のユーザーが利用できる「あんしん修理保険」、「Yahoo!トラベル」のユーザーが利用できる「旅行キャンセル保険」や「フライト遅延保険」などを提供してきました。ユーザーがサービス上でアクションを起こす際のニーズに沿った最適な保険商品を提案することで、ユーザーの利便性向上を目指す新しい保険です。
今回の「PayPay」のアプリ内から保険に加入できる取り組みは、専用のアプリをインストールすることなく、PayPayから簡単に利用できるミニアプリとしてサービスを提供しています。ユーザーは自宅でも外出中でも自分の好きなタイミングでPayPayから保険に加入できるようになりました。ドライブやレジャーなどユーザーの生活シーンに合わせた保険を提供しています。「PayPay」から加入できる保険商品は、半日単位から手頃な保険料で簡単に加入できるとともに「PayPay残高」※4で支払いができ、保険料の支払額に対してPayPayポイントが付与されます。
「PayPay」のアプリ内で「PayPayほけん」の保険に加入が可能になったことで、ヤフーのサービスを利用するユーザーだけでなく、登録ユーザー数が5,100万人※1を突破した「PayPay」のユーザーが、アプリから簡単に保険に加入することが可能になります。これからも、ユーザーのニーズにマッチした幅広い保険商品を提供していきます。
- ※1:2022年9月30日時点。2022年10月にPayPayを連結子会社化しました
- ※2:2022年9月末時点
- ※3:「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」は2022年10月に売場統合しました
- ※4:「PayPay」(PayPay残高)には、PayPayマネーとPayPayマネーライト、PayPayポイントおよびPayPayポイントライトの4種類があります。PayPayマネーは、PayPay所定の本人確認手続きを経て開設したPayPayアカウントへ入金した金額の範囲内で、提携サービスや加盟店での決済に用いることができるほか、PayPayユーザー間で手数料無料にて送金や受け取りが可能です
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今後のPMI
2022年度も引き続き中長期の成長を加速させる取り組みを進めています。10月にPayPayを連結子会社化しました。PayPayの圧倒的な顧客基盤とZホールディングスの各事業領域の結びつきをより強固にしていくことで、Zホールディングスグループの経済圏を一層拡大させていきます。
また、Zホールディングスグループのナレッジ共有イベントを開催し、グループ各社の知識と知識が交わることで、人財交流の場からも未来創造を推し進める新たなシナジーを創出していきます。
企業文化の融合、事業シナジーの発現に向け、今後もしっかりと歩みを進めていきます。
