Co-CEOsメッセージ

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Zホールディングスグループの持つ大いなる可能性を信じて
さらなる挑戦を続けていきます

出澤 剛代表取締役 Co-CEO
(共同最高経営責任者)
Marketing & Sales CPO

ガバナンスや組織運営体面で
着実にPMIが進展

LINE(株)(以下、LINE)とZホールディングスの経営統合から早1年半以上が経過しました。これまでのPMIの進捗を振り返ると、まず大きかったのは全社データガバナンスをはじめ、今後の成長の基礎となるガバナンス面の強化が進んだ ことです。これは、将来的に当社グループがグローバル市場で戦っていくための必須条件であったと私は捉えています。また組織づくりの面でも、重複する機能やサービスの集約・整理による業務の合理化・効率化が進展し、統合初年度だけで100億円規模のコストシナジーを生み出すことができました。

経営体制の整備も進みました。企業成長の核となるプロダクト戦略については、GCPO(グループ・チーフ・プロダクト・オフィサー)の慎と各事業領域のプロダクトを推進する「領域CPO」の連携によって、個々のグループ会社の枠を超え「全体最適」を見据えた資源配分ができる体制が整いました。これにより、グループの多岐にわたるサービスや技術基盤の全体を見渡し「今、最も必要なプロダクト・技術は何か?」という視点から優先順位を決定し、タイムリーな経営資源の投入が可能になりました。

また技術開発の面でも、Co-GCTO(共同グループ・チーフ・テクノロジー・オフィサー)制度の採用によってZホールディングスの藤門とLINEの朴という2人のCTOを中心に、グループ全体を統括する開発体制が構築できました。現在ではワーキンググループの設置や連携会議、事例共有会などを通して技術者レベルでの相互交流が頻繁に行われ、「AIテックカンパニー」を目指していくための技術面での様々な知見の共有化がしっかり進んでいます。

事業展開においても
さまざまなシナジーが発現

サービス展開の面でも、さまざまな分野で統合シナジーが生まれています。その代表例がヤフー、アスクル、出前館の3社連携によるクイックコマースの新サービスYahoo!マート by ASKUL です。注文・決済後、最短15分で食料品や日用品をお届けするこの画期的なサービスは、継続するコロナ禍において多くのユーザーに高評価を得ており、2022年8月からは来店型店舗の運営も開始しました。まさにグループの持つさまざまな「強み」が集結することで可能になった価値創造だと言えるでしょう。

このほか既存事業でも、統合によるシナジー効果が幾つも顕在化しています。たとえば、LINEギフトは、ヤフーとの連携もあってこの1年で取扱高を大きく伸ばすことができました。これはヤフーの小澤社長をはじめヤフーのコマース部隊メンバーによる取扱商品拡大に向けた営業面での支援をはじめ、在庫管理やECサイト運営に関するノウハウ伝授など、さまざまな面でサポートがもらえた結果です。Yahoo! JAPANとLINEのシナジーで言えば、Yahoo!ショッピングが導入した「LINE連携」、すなわち出店者様にLINEの公式アカウントを使っていただける企画も非常に好評を博し、取扱高の向上に大きく寄与しました。

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Zホールディングスの可能性は
無限に広がっている

このように様々な側面でPMIは着実に進み、成果も上がっているのですが「まだまだ、こんなものじゃない」というのが、今の私の率直な感想です。私がCEOを務めるLINEの視点で言えば、Zホールディングスとの経営統合は単に事業規模を数倍に拡大しただけではなく、自分たちがやれることの可能性を大きく広げてくれました。経営統合の検討を開始した時点からその予感はありましたが、実際に一つになってみて、新生Zホールディングスは本当に可能性に満ち溢れたグループであるとあらためて実感しています。

たとえば統合前のLINEはSNS分野では非常に強かった反面、コマース領域にはそれほど強力なアセットがありませんでした。しかしZホールディングスにはYahoo!ショッピングやZOZOをはじめ、一休、アスクルなど、非常に強力なアセットが揃っています。このことによってLINEのコマース領域にも大きな可能性が開けました。

PMIはまだスタートしたばかりであり、できること、やるべきことはまだまだあります。組織づくりの面では制度的な整備だけでなく、各部門の現場レベルでも相互の理解を深め、LINE、ヤフーそれぞれの文化を融合させた、新生Zホールディングスグループとしての企業文化を醸成していく必要があります。また事業展開の面でもLINE、ヤフー、PayPayの3大アセットの「ID連携」による「統合ロイヤリティプログラム」をはじめ、注力すべき課題、開拓すべき領域が多く残されています。

たとえば販促領域においては、市場の将来性を見据えてLINE、ヤフーそれぞれが進めてきた部隊を合体させたプロジェクトチームを編成し、既に商品開発や営業活動を開始しています。また戦略事業と位置づけているフィンテック領域に関しても、これまでZホールディングス、LINEで培ってきた「強み」を掛け合わせることで金融サービス市場でのさらなる開拓と収益拡大に挑戦しています。

LINEはグループ成長の鍵を握る存在に

Zホールディングスグループの成長において、LINEの果たす役割は今後ますます重要になっていくと私は確信しています。LINEの大きな特長は、人と人だけでなく、人とビジネス、人とコンテンツを繋げる非常に有効な手段であることです。現在のLINEは日本国内だけでも約9,200万人の月間アクティブユーザー数(*1)を誇り、さらにLINE公式アカウントの機能などによって国内最大のMA(マーケティング・オートメーション)ツールにもなっています。Yahoo!ショッピングのストアがLINE公式アカウントを活用することによって取扱高を大きく伸ばしたことは先述しましたが、他にもZOZO、一休など、ユーザーとのコミュニケーション深化に活用しているグループのサービスは数多くあります。

これからZホールディングスグループが創出していく新しいサービスやコンテンツの提案においても、LINEがユーザーとの接点・入り口になっていくはずです。そうした意味で、LINEはグループの事業拡大における重要な「ハブ」の役割を担っており、幅広い領域のサービスとの連携によってLINE事業自体のさらなる成長も図っていきたいと考えています。

もう1つ、このグループでLINEが担っていくべきは、グローバル展開における先陣の役割です。現在は当社グループ全体では、売上収益の大部分が日本国内で発生している状況ですが、インターネット産業の特性や当社の成長シナリオを考えれば、近い将来に戦いの舞台が海外にも広がっていくことは必至でしょう。その時にアジアを中心に海外展開を進めてきたLINEの事業基盤は大いに役立つはずです。

LINEはこれまでに韓国、台湾、タイ、インドネシアなどアジア各地において、メッセンジャーサービスをベースとしながらコマース、フードデリバリー、フィンテックなどの事業領域を着実に広げてきました。たとえば台湾では、LINE Payが決済サービス市場で圧倒的No.1の地位を確立しており、2021年に開始した銀行サービスも好調な滑り出しを見せています。今後はグループ全体でこうしたアジア地域でのLINEの顧客基盤やブランド力を活用することで、日本市場で確立した成功の方程式を世界に展開していきたいと考えています。

           

※1:自社調べ LINEアプリ 国内月間アクティブユーザー 2022年3月末時点

さらに多くのユーザーに
WOW/!を提供していく

インターネット企業の経営者として、私が最も重視している価値観をひと言で表せば「WOW」という言葉になります。「WOW」とは、たとえば「ユーザーを感動させる初めての体験」であり、「思わず友だちに教えたくなるような驚き」です。この言葉は、経営統合前からLINEがずっと大切にしてきた価値基準 であり、2022年3月に改定したZホールディングスの新しいマテリアリティの第1番目にも「データ/AIを活用した新たな体験(WOW/!)の提供 」を置いて、その重要性を明示しています。

インターネット企業の価値は、今まで経験したことのないような感動的な体験、すなわちWOW!を、どれだけ多くのユーザーに与えられるかで決まる、と私は考えています。その意味でこれを「ユーザーファーストの価値観」と言い換えてもよいでしょう。これまで当社グループは多岐に亘るアセットを活かし、幅広い領域で多くの人々に利便性の高いサービスを提供してきましたが、今後も持続的に企業価値を高めていこうとするならば、さらに多くのユーザーに新たなWOW!を、今までにない感動や驚きを提供し続けていかねばならないと思っています。

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いつまでも
チャレンジする企業であり続けたい

経営哲学として、私がもう一つ肝に銘じているのは「挑戦し続ける」ということです。

私がこの業界で働き始めた頃、インターネット事業は社会全体から見てまだまだ周辺的な産業でした。そうした状況のなかで、仲間たちと共にさまざま試行錯誤を繰り返しながら新しいことにチャレンジし、サービスの幅と深さを少しずつ広げ、事業と会社を大きくしてきました。LINEだけでなく、現在当社グループに所属する全ての企業がそのような「挑戦の歴史」を持っているはずです。その意味において「チャレンジ精神」は、グループ全体に受け継がれたDNAの一つである、と私は考えています。

ただし、企業も人も大きくなるにつれてだんだんと保守的になり、意識をしないと新たなチャレンジができなくなっていきます。インターネット産業は今や社会のメインストリーム的な存在になりつつあり、その中でも当社は圧倒的なシェアとユーザー数を誇る日本最大規模の企業グループとなりました。LINEやヤフー、PayPayをはじめ提供サービスの多くは何千万人ものユーザーの日々の生活に密着し、企業として果たすべき社会的責任も非常に大きくなりました。

けれども、いかに規模が大きくなり、守るべきものが増えようとも、新しいこと、未知のことに「挑戦し続ける」気持ちをわれわれは決して失ってはならないと思っています。これまで当社グループはデータやITテクノロジーを駆使して、世の中に存在するさまざまな「ペインポイント(=満たされていないユーザーニーズ)」を充たすことで、成長を遂げてきました。しかし社会にはまだまだ多くのペインポイントが残っています。グループの多様で強力なアセット群を活かし、シナジーを最大限に発揮させてそれらを解決していくことが、われわれの社会的使命であり、同時に成長の絶対的条件だと私は考えます。

現状に満足することなく常に未来を見据え、変化を恐れずあらゆることに「挑戦」し続ける──そうした気概に満ちた企業風土を醸成していきたいと思っています。Zホールディングスグループの未来に、ぜひご期待ください。