独立社外取締役
インタビュー

更新日:2022/11/15

社外取締役 臼見 好生の写真

少数株主や社会の視点から
経営をチェックし
統合シナジーを活かした
事業成長の加速と
中長期的な企業価値向上を
サポートしていく

臼見 好生社外取締役(独立役員)常勤監査等委員

  • Q1

    独立社外取締役としてZホールディングスをどのように捉えていらっしゃいますか?

    LINE(株)との経営統合やPayPay(株)の子会社化に象徴されるように、Zホールディングスはとても大きなチャレンジができる会社です。日本企業で、これほど大胆な決断を下してきた会社は数少ないと思います。その結果として、ZホールディングスはLINE、Yahoo! JAPAN、PayPayの3つのスーパーアプリを保有する持株会社となり、ビジネスチャンスを大きく広げています。
    一方で、日本最大規模かつアジアでもトップクラスのグローバルなデジタルプラットフォーマーとして、サービス品質や個人情報保護などに対する責任も一層重みを増しています。国内外に100社を超えるグループ会社を有するZホールディングスがグローバルなデータガバナンスを実現するために、「横と縦のガバナンス」を効かせていくことが重要 と考えています。
    当社にはソフトバンク(株)(以下「ソフトバンク」)、ネイバー(株)(以下「NAVER」)と大株主がいますので、少数株主の声にきちんと耳を傾けながら、企業価値の向上を図っていくことが重要だと考えています。

  • Q2

    経営統合を機に取締役会の構成が大きく変わりました。現在の取締役会の構成をどのように評価されていますか?

    以前は、親会社から取締役を招聘しており、例えば、ヤフー(株)(以下「ヤフー」)では、ソフトバンク創業者の孫正義氏、LINE(株)(以下「LINE」)ではNAVER創業者のイ・ヘジン氏がそれぞれの会社の取締役として、節目節目での大胆な決断を後押ししてくれていました。この点、経営統合後のZホールディングスはヤフーとLINEからそれぞれ3名、独立社外取締役4名の10名体制となり、親会社からの取締役の招聘は無くなりました。
    現在は、10名のうち6名が社内の執行取締役ですが、業界に詳しく業務に精通した役員同士が、取締役会の場で集中的に議論し、ヤフーの事業に対してはLINE出身の取締役が、LINEの事業に対してはヤフー出身の取締役が、それぞれ独立役員に近い視点で意見できています。
    執行取締役が事業を相互に監督・推進して、非執行の独立社外取締役がガバナンス全般を監督する体制は、経営統合後かつ大変変化の早い業界という状況を鑑みると、良いバランスであると認識しています。

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    Q3

    2021年5月にガバナンス委員会が設立されました。設立経緯やその役割について教えてください。

    2021年3月の経営統合後、独立役員から「グループのコーポレート・ガバナンスの課題などについて客観的に評価・検討する機関を設けるべき。」との意見が出されたことをきっかけに、取締役会の諮問機関として、独立役員4名で構成されるガバナンス委員会を発足させました。
    親会社などの関連当事者との取引について、ガバナンス委員会で事前確認や答申をするなど、コーポレート・ガバナンスにも関わる重要事項について討議することで、グループ・ガバナンスのさらなるレベルアップや少数株主保護を図っています。
    今後、ガバナンス面で力を入れていこうと考えているのが、グローバル化への対応です。国によって法制度も事業の置かれている状況も異なります。さらに労働法制や労働習慣、人財の流動性なども日本とは大きく異なっていますので、そうした違いを認識した上で、相互に納得できるやり方でグループ・ガバナンスを実施していくことが大切だと思います。

  • Q4

    今回、役員報酬制度を改定されましたが、その狙いを教えてください。

    ZホールディングスとLINEでは、役員報酬制度や、報酬に対するそもそもの考え方が大きく異なっていたため、経営統合後、双方の取締役が同じ目線で経営に取り組めるよう、互いに納得のいく共通の報酬制度を早期に導入する必要がありました。
    ただ、共通していたのは、競合がひしめくインターネット業界で、当社グループが今後も存在感を発揮していくためには、経営陣がリーダーシップを発揮し、適切なリスクを取りながら大きなチャレンジをしていく必要があるという点です。そうしたチャレンジを加速させるためには、どのような報酬制度が求められるのかを、外部のコンサルを活用し、他社のベンチマークを確認しながら、1年間かけて指名報酬委員会で徹底的に議論してきました。インターネット業界では、世界レベルで人財獲得競争が激化しているだけに、優秀な人財の流出を防ぎ、また、集まってくる報酬システムでなければならないからです。
    こうした議論を経て、まずは執行取締役の報酬に関して、事業成長や企業価値向上を後押しすることを重視して、金銭報酬よりも株式報酬に比重をおき、特にストックオプションの比率を高く設定しました。さらに、サステナビリティ経営の推進を加速させるべく、業績連動賞与の評価基準の中にサステナビリティ評価を組み入れたのも今回の制度改定の大きな特徴 です。

  • Q5

    取締役会の実効性向上のためにどのような取り組みを行なっていますか?

    当社の実効性向上のための特徴的な取り組みとして、概ね全ての取締役会の終了直後に、独立社外取締役全員と取締役会事務局にて、その日の振り返りを行っています。
    例えば、「今日はもっとこの部分を掘り下げて議論すべきだった。」「このテーマはガバナンス委員会で取り上げるべき。」「監査等委員会でも確認しよう。」など、その日の会議の反省点や浮かび上がった課題について話し合い、次回の取締役会や委員会運営に反映させています。もちろん、年度毎の実効性評価も実施していますが、毎月改善ができる点で、この振り返りは、当社の良い取り組みだと思います。
    また、当社では、常勤の社外取締役はもちろん、非常勤の社外取締役であっても、定例の取締役会や委員会のほか、取締役会の事前説明やCo-CEOとのミーティングなどを加えれば、月に7〜8回は意見を交わす機会があります。社外取締役と社員とのコミュニケーションが活発で、日頃からしっかりと意思疎通できているのも、取締役会や委員会での充実した議論につながっていると思います。

  • Q6

    ESGにおいて重視されていることは何ですか?

    社外取締役 臼見 好生の写真

    当社は経営統合後にグループとしての重点課題(マテリアリティ)を改訂し、「6つのマテリアリティ」を特定しました 
    その中でも私が特に重視しているのが「人財の強化」です。Zホールディングスグループの事業は、「人財がすべて」といっても過言ではありません。M&Aなどで素晴らしい技術やビジネスモデルを持った会社が当社グループに加わったとしても、それを支える人財が流出してしまえば事業の発展・成長は望めません。
    Zホールディングスグループの技術部門はものづくりを大切にする真面目なエンジニアが集まっていますし、また社内のミーティングを見ても、多くの社員が活発に発言するなど、風通しの良さも当社グループの特徴です。今後もこうした組織風土や職場環境をより一層磨き上げ、「ここで働けば成長できる」「面白い仕事ができる」と社員が実感できる会社にしていくことが大切だと思います。

  • Q7

    独立役員として今後どのような活動をしていこうとお考えですか?抱負をお聞かせください。

    私たち独立社外取締役の大きな役割は経営のモニタリングにあります。
    中長期な視点で企業価値の向上が図られているか、当社グループの経営戦略が少数株主を含む株主全体の利益に沿ったものか、そして各施策が計画通りに進捗しているか、特にLINEとの経営統合後においては、PMIの進捗状況などを検証し、気づいた点や改善すべき部分があれば、執行陣に率直に伝えていきます。
    また、デジタルプラットフォーマーを取り巻く経営環境が激しく変化するなか、大胆な先行投資などの「攻めの経営」と、世界各地での法令遵守や情報保護の徹底などの「守りの経営」とを適切に推進していく必要があります。
    そうした環境変化や当社の事業戦略、経営状況などを客観的・中立的な視点で捉え、適切な助言や提案を行うことで、当社グループの経営をサポートしていきたいと考えています。